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われても末に逢わむとぞ思う ~ 平清盛・武家政権の裏側で

瀬をはやみ岩にせかるる滝川の
         われても末に逢わむとぞ思う
(崇徳院)

2012年の日本のヒーロー・平清盛は
武士として初めて政権を握った人物として
日本史上、重要な人物のひとりに挙げられます。

その反対側、朝廷の立場から見ると
武士に政治の実権を奪われ、
権威が失墜してしまうことになったわけですが
その原因は、崇徳上皇の祟りによるものだと
古来より信じられてきたそうです。

崇徳上皇とは、冒頭の和歌に代表されるように
歌人として知られていますが
保元の乱で敗れ、罪人として讃岐に配流され
失意のうちに崩御されます。

*保元の乱(1156)
兄・崇徳上皇と弟・後白河天皇の皇位継承をめぐる争いに
摂関家・藤原氏の内紛がからみ
源氏と平氏もそれぞれ2派に分かれて争った内乱。

崇徳上皇が讃岐に流されて以降、
不可解な事件、事故が数多く起こり、
それらは次第に崇徳上皇の生霊、怨霊が引き起こしたものだと
信じられるようになっていきます。

保元の乱では後白河天皇方について
ともに闘った源義朝と平清盛ですが
のちに勢力を争って平治の乱(1159)となり、平清盛が勝利。

この後平氏が政権を握るようになりますが
天皇家の裏の歴史では、
それは崇徳上皇の祟りが為したことだと信じられてきたそうです。

そんな歴史の裏側を知っておくと
『平清盛』をより深く理解し、さらに楽しめるんじゃないかと
この本をご紹介します^^

『怨霊になった天皇』 竹田恒泰



天皇家の歴史は、
皇位継承をめぐる権力争いの歴史でもあり
教科書に載っていない裏側では
勝者と怨霊(敗者)との戦いの歴史でもありました。

そのような裏側のお話が数多く紹介されています。
といっても、この本はオカルト本ではありません。

著者は何度も、
怨霊とは、死者がなるものではなく
生者が作り上げるものだ、
と述べています。

日本の歴史上、保元の乱以外にも数多くの政変があり、
敗れて非業の死を遂げた方が大勢いらっしゃいました。

そんな方達がどのように「怨霊」として
世間で恐れられるようになったか、
神として祀られるようになったか、
この本には数々のエピソードが紹介されていて、
読み応えがあって面白いです。

崇徳上皇の冒頭の歌の意味
 浅瀬の流れがはやいので、
 岩にせきとめられる急流は二つに分かれても、
 のちにはふたたび出会うように、
 あなたと今は別れても、将来ふたたび会おうと思う。

一見激しくロマンティックな恋の歌のようですが
崇徳院の悲運の生涯を思うと、
奥にもっと深い想いが流れているのではないか、と感じます。

歴史の裏側を知ると、新たな発見があるんです。

この本、日本史好きの方には特におすすめです^^

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コメント

こんにちは。

面白そうな本ですね。崇徳院のこの御歌は、今は落語のネタに
なったり、百人一首に取られたりして、時代背景を知らないと、
ただの優雅なお公家さんの言葉遊びしか思えませんよね。

奥に上皇の秘められた思いがあるのは、うなづけます。
でも政争にやぶれ、悲運の生涯を終えられた上皇だからこそ、

私は、上皇の平和で希望に満ちた青春時代の思い出を素直を
詠まれたものと思いたいですね。

投稿: なかっちょ | 2012/02/25 19:43

>なかっちょさん

お生まれになったときから
大変な宿命を背負っていらっしゃって

御在位中は
上皇による院政が敷かれていたため実権がなく

御退位後は政争に敗れる・・・

悲運のご生涯みたいですが、
なかっちょさんのおっしゃるように
平和でお幸せな時間を過ごされた時期もあったと
私も思いたいです^^

崇徳院のご生涯も、
この本に詳しく書かれています
日本史の勉強になりました

投稿: wisteria | 2012/02/27 20:08

崇徳院は悲運の人でしたね。
歴史を読む時は、勝者が如何にして勝ったかということだけでなく、
敗者が如何にしてその悲運を受け入れた(受け入れざるを得なかった)のかを読むのが良いのではないかと思います。
崇徳院は、
「瀬を早み…」
の歌を残しました。感性の素晴らしい人だと思います。

投稿: white fox | 2012/02/28 21:56

>white fox さん

そうですね

歴史書は勝者の立場で書かれているので
必ずしも正確に史実を伝えるものではない
と言いますね

違う角度からも読み解くようにすると
いろいろなことが見えてきそうですね


投稿: wisteria | 2012/02/29 20:26

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